残業45時間以内を求める 「一律指導」の見直しへ
変更内容
今回の見直しは残業時間の上限規制を緩和するものではありません。あくまで時間外労働の限度は原則月45時間・年360時間のままです。特別条項を設けた場合でも年720時間以内、単月100時間未満、複数月平均80時間以内などの上限規制はこれまでどおり適用されます。
変わるのは、監督署が事業場を指導する際の「着眼点」です。45時間という数字を超過していること自体を問題視するのではなく、その事業場が労使協定に基づいてどのような健康確保の取組みを行っているかを重点的に確認するようになります。
健康・福祉確保措置とは
36協定の指針では、特別条項を設ける場合の健康・福祉確保措置を、次のもののうちから協定することが望ましいとしています。
- 医師による面接指導、深夜業の回数制限、
- 勤務間インターバルの確保、代償休日や特別休暇の付与、
- 健康診断の実施、連続休暇の取得、心とからだの相談窓口の設置など
今回の見直しでは、これらの措置を協定書に記載しているかどうかにとどまらず、実際に運用され、記録が残っているかどうかが監督署の確認対象になります。特別条項付き36協定を締結していながら、健康・福祉確保措置が書面上の記載にとどまり実施されていない事業場は、時間数の水準にかかわらず指導対象として着目されやすくなる可能性があります。
企業に求められる実務対応
自社の36協定・特別条項の内容を確認し、健康・福祉確保措置がどの項目に設定されているかを再確認するのが出発点です。そのうえで、面接指導の実施記録、勤務間インターバルの運用状況、代償休日の取得実績など、措置を実施した証跡を残す体制を整えておく必要があります。単に協定書に措置を記載するだけで運用実態が伴っていない場合、見直し後もかえって指導の対象となりやすい点には注意が必要です。
まとめ
厚生労働省も、健康障害のおそれが高い場合は引き続き指導するとしています。監督指導の重点が「時間数」から「健康確保の実効性」へ移るものと捉えるのが適切でしょう。注目すべきは従業員の健康状態で、残業時間はその判断材料の一つです。この機会に、健康・福祉確保措置の内容と実施記録を点検しておきましょう。
