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裁判例から学ぶ無期転換ルールのリスク対策

メルマガ情報 2026.03.28

無期転換ルールの目的と概要

2013年4月以降に締結された有期契約から始まったこの無期転換ルールは、非正規労働者の不安定な雇用関係の是正を目的としています。同一使用者との有期契約が通算5年を超えて更新された場合に、労働者からの申し込みにより無期労働契約に転換する権利が発生します。

裁判例整理の背景と主なポイント

今回厚労省が公表した資料は、無期転換ルールに関する典型的な問題と判断基準を、裁判例をもとに整理したものです。主なポイントは以下の二点です。

1.無期転換申込権発生直前の雇止め

無期転換申込権が発生する直前に、合理的な理由なく雇止めを行った事例が裁判例として取り上げられています。また、申込権発生前に一方的に更新上限を設定したり、契約締結時点で当初から更新上限を設けて無期転換申込権の発生を回避したりするような事例も取り上げられています。これらは、無期転換権の行使機会を不当に制限する可能性があり、裁判所は合理性や相当性の観点から厳格に判断する傾向にあります。有期契約労働者の雇止めは単なる契約終了・期間満了として安易に行うべきではありません。契約継続を期待させる状況であればあるほど、雇止めのハードルは高くなっている点に注意しましょう。

2.無期転換申込に対する不利益取扱い

申込をした労働者に対して、申込を理由に不利益な取扱いがなされた事案も紹介されています。例えば、申込後に労働条件を意図的に不利にしたり、申込の放棄を強要したりといった事例です。これは、無期転換権行使を抑制するような職場環境・処遇変更が不当とされる可能性を示唆しています。企業としては、この種の不利益取扱いは、裁判所において不利に判断されるリスクが高い点に注意が必要です。

実務対応のポイント

企業の労務担当者や経営者がこの資料を踏まえた対応をする場合のポイントは以下のとおりです。

1.通算期間の管理の徹底

通算契約期間の把握と、申込権発生時期の正確な管理・運用は必須です。無期転換権の発生の見落としや雇止め時期の判断ミスを防ぐための基盤です。

2.有期契約と無期契約の明確区分

有期契約と無期契約の仕事内容や労働条件に明確な差がないほど、契約更新を期待させやすくなり、雇止めのハードルが高くなります。雇止めの可能性がある有期契約については、当初から時限的かつ限定した業務(例:スポット的な繁忙期対応など)を担当させるなどの区分を明確にした方がよいでしょう。

3.誠実な交渉

経営的判断から無期転換申込をされると困るような場合であっても、誠実な対応が重要です。個別の労働者の事情を聞く、会社の経営状態を正直に伝える、労働者の能力が不足しているのであれば繰り返し指導するなど、誠実な対応によってトラブル深刻化の予防に努めましょう。

労働問題や人事制度、業務効率化で悩まれている経営者は、ぜひご相談下さい。

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